The Memory of TAKAJUN

怠惰な方向音痴の記録。

【第3話】不可と怠惰と編入試験

この記事はNara高専 僕たちの遺言集 Advent Calender 3日目の記事です。

Adventar.org

はじめまして

えー。はじめまして。遺言集の3番手を担当させていただきます、たかじゅんと申します。
といってもこの記事を開いている方であれば、私のことを全く知らないという方はかなり少ないのではないかと思いますが、軽く自己紹介をしておきますと、現在情報工学科5年(レストと同じクラスですね)、来年は長岡技科大で、普段は鉄道など乗り物のオタクをしていたり、TRPGで遊んだり、動画を作ったりしています。関西にいられるのはあとわずかですが、ぜひ仲良くしてください。

まあそんな私の余計な話は21日にまたやると思うので、今回は比較的真面目な話を。

明らかにイキリだったり、いくらなんでも失礼だろうというような内容を含んでいるのですが、できるだけ私の本心が伝えられるように書いています。不快に思われるかもしれませんが、どうかお許しください。

 

大学編入を志した話

と、まあ長岡技科大に行くと言ったわけなのですが、実のところこれは望んだ結果ではありません。第一志望の静岡大、第二志望の和歌山大と受けて落ちまして、なんとか滑り止めに合格して路頭に迷うことは回避したわけです。滑り止めとはいえ行ってもいいなと思っていた場所ですし、とても悔しいというわけではないのですが、それでもこうなったのはやはり人生のミスだと思わざるを得ないのです。

高専生ではよくあることかと思いますが、私は中学生のころ、他の諸々は抜きにすればテストの成績は優秀な部類だったので、将来大学に行くんだろうなあとぼんやり考えていました。高専の受験を決意してからも、将来は大学に編入しようと考えていました。

ですが、高専では成績が徐々に下降していき、進学をあきらめて就職の道も考えました。最終的に進学を決意したのも、就職して社会に出るということが私にとって極めて重く、今そうする勇気がなかったからです。

 

79.8点

これはなんの点数かといいますと、情報工学科で算出される、(1,2年の総合成績の1/3)+(3,4年の総合成績の2/3)で構成される総合成績です。
そして、情報工学科で大学編入の推薦を受けるのに必要な最低の点数は、80点です。
これの意味することは、推薦による編入試験の受験という、進学の近道が閉ざされてしまい、一般入試の受験、すなわち受験勉強の道を進むしかなくなったということです。
志望先はさすがにこの時点ではもう決めていましたが、技科大はともかく、それ以上は先生からは入れるかどうか微妙、という評価でした。

 

怠惰

さて前述した通り、私の受験は上手くいかなかったわけです。それは何故か自己分析するならば、私が怠惰であるからでしょう。
同じ5Iのメンバーならば、5年の前期に私がろくに受験勉強をしていなかったことを知っていると思います。

これは堂々と言えることでは全くないのですが、私は「勉強をする」ということが、きわめて下手です。
イキリオタクと言われるようなことを述べると、中学時代、テスト勉強など一度もした覚えがありません。塾にも通ったことはありませんし、通信教育を受けたこともありません(家に届いた進研ゼミの漫画を読んでいたぐらいです)。それでも中学時代は、テストの成績が平均80点を割ることはなく、低く見積もっても上位1割に入る程度には取れていました。それで何も困ることはありませんでした。

よく、「実はそこそこ勉強してていつも点数取ってる奴がテスト当日に『ヤバい私全然勉強してない(笑)』みたいなこと言ってくるのウザい」というあるあるネタを聞きます。今思えば、私はまさにこのような人間だと周囲から見られていたのだと思います。しかし、実のところ、私はこれをネタとして理解できません。「本当に全く勉強しないで、十分に高い点数を取る」という、自分という人間がいたからです。

当然、「勉強する習慣」などつきませんでした。高専の受験(推薦は内申点が低すぎてあり得なかったので、一般で受けました)ですら、過去問を数回解いただけで臨みましたし、受かってしまいました。

そんな「勉強する習慣」のない人間が、果たして高専でやっていけるのでしょうか。既に自覚はあったので、入学当初はとても不安を抱いていました。数学βの最初の小テストで、平方完成が全くできず、0点を取ったとき、すこし危機感を抱きました。しかし、その時はそれだけで、結局1年や2年の前半までは、どちらかといえば成績が優秀な部類でした。これも自分で言うことでもないですし、イキっていいようなことではないのですが、なんだかんだ「頭の良さ」というものはあったのだと思います。そして私は、「なんだ意外となんとかなるじゃん」という油断を身につけてしまいました。

しかし、この頃から既に無理が出ていました。2年の前期の英文読解の点数が低く、英語の補講を受けることになってしまったのです。そもそも私は英語が苦手だったうえに、ろくに授業も聞いておらず、勉強せずにテストを受けていたらまともな点数が取れるわけがなかったということです。
この補講はとても丁寧なもので、受けていてよかったと思えるのですが、当時この補講を受けていたのは、大変失礼なのですが、ほとんどが成績下位者でした。私は平均より上位の成績にいたので、「お前なんでおんねん」という煽られ方をしました。これも大変失礼なのですが、自分が成績下位者に紛れ込んでイキっているように思えてしまい、微妙に嫌な気分でした。

補講の甲斐もあったのかどうかはわかりませんが、結局英文読解の単位は取ることができました。

 

不可の民になる

しかし本当に問題だったのは、英語ではありませんでした。数学です。私はもともと数学に苦手意識がありました。そして、2年の後期の微積で30点台を取りました。しかし、微積を担当(それどころか1年から4年まで数学を担当)してくださっていたU先生は非常に優しく、この程度のやらかしであれば単位の問題になることはありませんでした。

しかし、数学が極めて重要な教科があります。物理です。3年生から、応用物理の担当は悪名高いS先生でした。S先生のテストは、数学が苦手な私にとって非常に難しかったのです。当然、前期中間の時点でかなりひどい点数を取りました。しかし、ここで危機感を覚えても、どうしようもありませんでした。物理でひたすら低い点数しか取ることができなかったのです。3年生の応用物理は、最終成績59点で不可Aをつけてしまいました。

当然、不可解消試験が必要になり、これは本当に辛かったです。勉強する習慣がないからです。この試験を受けていたのは、やはり成績下位者がほとんどだったのですが、私は得意教科ではかなり高い点数を取っていたので、総合的な成績は平均程度でした。しかし、応用物理に関しては、その成績下位者以下の理解度だったのです。「なんだかんだ自分はある程度頭が良い」とイキッていた私にとって、これはとても辛いことでした。

進学を諦めかけて、就職を考えたのもこの時期です。3年の応用物理Ⅰはなんとか翌年中に解消できたのですが、そして、4年の応用物理Ⅱと電磁気学も同じように不可Aを取り、5年もまた不可解消試験を受けなければなりませんでした。

この時期、私はある答えに辿り着いていました。それは、「勉強しても点数が取れない」ということです。応用物理も電磁気学もとても苦手で、落単の危機にあるということは当然わかっていたので、テスト前には問題を解き、公式を覚え、分からないところは友人に教えてもらう、という勉強をしていたのです。テスト前にきちんと勉強することがそもそも珍しいことでした。しかし、結局この程度の努力ではどうしようもなく不可を取りましたし、そして同時に、「テスト前日に最低限の復習をしただけ」レベルの教科では、ほとんど単位の問題になることはありませんでした。

 

それでも現実は見られない

この結果が、最初に述べた、編入を志望するもろくに勉強せず第一志望に落ちる、という事象です。数学も英語も苦手なのに、せいぜい過去問を読んで問題集を解くぐらいで、編入の問題が解けるようになるかというと、なりません。今思えば当然のことです。

これは専攻科に受かった人からは怒られそうなのですが、専攻科を受けなかったのも失敗でした。そもそも高専が大好きな私は、第一志望の静岡大に行けないなら、専攻科に入るメリットのほうが大きいだろうと思っていて、直前まで第二志望に置いていました。しかし、専攻科受験希望の人数は予想以上に多く、これは受からないだろうと思い撤退を決めました。この時は、後悔していませんでした。ですが、蓋を開けてみると、当時既に卒延が確定していたB君を含めて全員が合格していました。この時すでに第一志望の不合格を受け取っていた私は、やるせなさを感じずにはいられませんでした。あと少しのやる気と勇気と学力があれば、合格できていた可能性は低くなかったはずなのです。

結果的に滑り止めには受かったからよかったのですが、現実というのは重いものです。もう少し勉強していれば、別の受験先にしていれば、あるいは就職志望にしていれば、という念は、今でもあります。今の私は、プレミを積み重ねた先に立っていると自分では思わざるを得ないのです。

 

編入を目指す人々へ

はじめは「これ書けることあるのかな?」と思っていたのですが、とても長くなってしまいました。
これから編入を目指している方がもしこの記事をここまで読んでいただけていたのなら、少し考えてほしいことがあります。

貴方は、目標に向かって努力することができますか?

もし自信がないのであれば、編入を目指すなというわけではありません。悔しい思いをしないためには、(こんなことを言うと炎上しますが)身の丈に合った受験という考え方も必要になってきます。努力が難しいならば、ハードルの低い志望先も考えることをおすすめします。私が合格した技科大は、とても倍率が低いので、合格できる確率は高いです。受けていない身で言うのも違うとは思いますが、専攻科もおそらくそうでしょう。専攻科は受験料が安いというメリットもあります。

編入試験は基本的に問題数が少ないので、出題範囲が偏ることもありますし、情報が少ないことから対策も限界があるので、どうしても運の要素もあります。受けた学科の合格者がゼロだった、なんてこともあります(私が落ちた和歌山大学の社会情報学メジャーがこれでした)。

それでも、後悔しない選択をしてほしいのです。そして、受けると決めたからには、全力で立ち向かってください。大抵の場合、過去問はどうにかすれば手に入れることができます(私は過去問入手のために一度静岡大に向かいました)し、編入対策用の数学問題集も市販されています。それをやれば十分というわけではありませんが、できることをやらないことほど、勿体ないことはありません。

今成績上位だ、という方は、このまま突き進んでください。志望先を選ばないのであれば、推薦ラインさえ超えていればどうにかなると思います。そうでなくても、高専で成績上位を取れるぐらいの実力があれば、有名大学だって狙えるでしょう。そうなるともう、私よりはるか上の世界です。編入試験ならば、他に滑り止めをいくつも受けることだってできます。いろいろな道があります。

そうでないけど、編入を目指したい、という方は、できることを積み重ねてください。怠惰の自覚があるのなら、無理をしないという考え方も必要かもしれません。この記事を読んでいる貴方が3年以下なのであれば、今から成績上位を目指し、推薦ラインを狙うことをおすすめします。仮に超えられなかったとしても、そこまでの努力は無駄にならないはずです。

 

最後に

ここまで長文を読んでいただき、ありがとうございました。皆さんの境遇は私にはわかりませんが、各々の夢を叶え、幸せな未来を手に入れることを祈っておきます。私も辛い思いをした話だけではなく、1年後か2年後か、もっと後かもしれませんが、技科大に進学して良いことがあった、という話ができるように、大学生活を送ろうと心に誓います。

 

最後はどうか、幸せな未来を。